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第七 デウス(天主)の御掟の十のマンダメントス(十戒)の事

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弟:右には早良く達して、デウスへ物を乞ひ奉り信じ奉る爲に、肝要なる儀を表し給ひしなり。今また、善を勤むる道を教え給へ。
師:保つ爲に、御掟のマンダメントとサンタヱケレジヤのマンダメントを知り、同じく退くべき爲には、モルタル科を知る事もっぱらなり。

弟:御掟のマンダメントは何ヶ條有りや。
師:十ヶ條なり。これ即ち二に分けるなり。初めの三ヶ條は、デウスの御幾方に当たり奉り、今七ヶ條はポロシモ互ゐの徳の爲なり。

第一御一體のデウスを敬ゐ貴び奉るべし。
第二貴き御名に掛けて、虚しき誓ゐすべからず。
第三ドミンゴ(日曜日)祝ゐ日を勤め守るべし。
第四汝の父母に孝行すべし。
第五ヒトを殺すべからず。
第六邪淫(じゃいん)を犯すべからず。
第七偸盗(ちうたう)すべからず。
第八ヒトに讒言(ざんげん)を書くべからず。
第九他の妻を恋すべからず。
第十他の寶を妄りに望むべかず。

右この十ヶ條は、ただ二ヶ條に極まるなり。

一には、ただ御一體のデウスを、萬事に越えて御大切に敬ゐ奉るべし。
二には、我が身の如く、ポロシモを思へと云ふ事。是なり。

キリスト


弟:第一のマンダメントをば、何と樣に勤むべきや。
師:眞のデウス御一體を拝み奉り、御奉公を抜きん出て、我らが御合力と御返報を頼もしく待ち奉り、我らが吉事の源にて御坐ませば、これらの事を頼み奉るべし。また、デウスの如く御創りの物を敬はさるを以て、このマンダメントを保つなり。

キリスト


弟:ビルゼンサンタマリヤ、また、その他のベアト達を拝み奉る事は、如何に有るべきや。
師:デウスの如くには拝し奉らず。ただデウスのガラサを以て、現世にて善行を勤め給ひ、奇特なる御所作を為されたる御人なれば、今デウスの御内證に適ひ給ふによって、我らが御執り成し手と用ひ奉るべし。

弟:第二のマンダメントをば何と守るべきや。
師:眞と善事と、要るべき事より、他は誓ひをする事無きを以て、このマンダメントを守るなり。

弟:眞に誓ひをするとは何事ぞ。
師:偽りと知り乍ら誓文をする事。または、眞か偽りかと疑はしき事に誓ひを為す事は、デウスを虚言の證據に立て申すによって、例え軽き事なりともモルタル科となるなり。

弟:少なる事に誓文をするとは何事ぞ。
師:例え眞なる事に誓文をすると雖も少なる事にあらずは、その題目の品によって、モルタル科か、†ベニアル(小罪)科かになるものなり。例えばモルタル科を犯さんとの誓ひならばモルタル科となり、ベニアル科を犯さんとの誓ひを為すはベニアルとなるものなり。

弟:要るべき時とは何事ぞ。
師:例え眞實に少なる事に誓文すると雖も、要らざる時に誓ひを為すは、事によってモルタル科には成らずと雖も、ベニアル科を漏るゝ事有るべからず。

弟:デウスより他に、別の者に掛けて誓文する事有りや。
師:なか/\有り。例えばクルス、ベアト達にか、または貴き事に掛けてか、我が命にか、その他、何れの御創りの者に掛けて誓ひをする事も有り。

弟:そら誓文をすまじき爲の便りとなる事有りや。
師:常に誓文せざる樣に嗜む事なり。

弟:然らば、物の実否を断る爲には、如何に云ふべきや。
師:眞にと云ふか、眞實と云ふか、または疑ひ無し必定なりと云ふ類なり。

弟:第三のマンダメントをば何と守るべきや。
師:これを守るに二の事有り。

一には、ドミンゴとヱケレジヤより触れ給ふ祝ゐの日、所作を止むる事なり。但し逃れぬ仔細有る時は、所作をしても科に成らざる事有り。
二には、斯樣の日には一度の†ミイサ(聖祭)を初めより終はりまで拝み申す事なり。これも煩ゐか最もなる仔細有る時は、拝まずしても科にはあらず。

弟:第四のマンダメントをば、何と守るべきや。
師:親に良く従ゐ、孝行を尽くし敬ゐを為し、用有る時は力を添ゆる事。また、ヒトの下人たる者は、その身の主人、その他、司たる人々に隨ひ奉公に許せ無きを以て、このマンダメントを守るなり。

弟:父母、主人、司たる人々より、科となる事をせよと云ひ付られん時も隨ふべきや。
師:親、主人、司たるヒトに良く隨へと云ふ事は、科にならざる事を云はれん時の事なり。デウスの御掟を背き奉れと云はれん時の事にはあらず。

弟:第六のマンダメントをば、何と守るべきや。
師:ヒトに對して仇を為さず、害せず、傷を付けず。これらの惡事をヒトの上に望まず、喜ばざるを以て保つものなり。その故は、我らがポロシモは、みなデウスの御写しに創り給へばなり。

弟:主人として被官以下を成敗する事適ふまじきや。
師:少なる仔細有りて、我が進退する者供をば害する事も適ふなり。少なる仔細無き時は殺す事適わず。例えまた、少なる仔細有りとても、我が進退にても無き者をば殺す事無かれとの御戒めなり。

弟:ヒトの上に惡事を望まざれとは如何なる事ぞ。
師:ポロシモに對して遺恨を含み、仇を為したく思ひ、或ゐは仲を違ゐ、コトバを交はさぬ事は、このマンダメントを背く儀なり。

弟:第六のマンダメントをば、何と保つべきぞ。
師:コトバ、所作を以て、男女共に淫乱の科を犯すべからず。または自ら犯す事も同じき科なり。

弟:何とてコトバ所作を以てとは宣ぞ。ココロにこれを望む事も同じき科となるべきや。
師:心中に望む事も科なれども、それは第九のマンダメントを破る別の科なり。

弟:このマンダメントを保つ爲の便りとなる事如何に。
師:數多の事有る中に、食ゐ物、飲み物を飽くまでにせざる事。惡しき友と交はりを止むる事。恋の唄、恋の草紙を読まず、恋の謡を歌はず、適ふに於ゐては聞かざる事なり。

弟:第七のマンダメントをば、何と保つべきや。
師:他人の財寶を、何なりとも、そのあるじの囘心無くして盗る事も留め置く事も有るべからず。ヒトにもこれらの事を勧めず、その合力をもせず、その便りともなるべからず。

弟:ヒトの物を盗みたく思う事は、このマンダメントを破る科にあらずや。
師:科なれども、それは第十ヶ條目のマンダメントを背く別の科なり。

弟:第八のマンダメントは何と保つべきや。
師:ヒトに讒言(ざんげん)を云ひ掛けず。誹(そし)らず。ヒトの隠れたる科を表すべからずと雖も、そのヒトの科を引き返さすべき心当てにて、司たるヒトに告げ報せ申す事は適ふなり。ヒトの上に邪推せず、虚言を云ふべからず。

弟:第九のマンダメントをば、何と弁え致すべきぞ。
師:他人の妻を恋せず。その他、恋慕に当たる事を望むべからず。淫乱の妄念に與(くみ)せず。または、それに喜び執着する事も有るべからず。

弟:淫乱の念の起こる度ごとに科となるや。
師:その儀に在らず。その念を喜ばず、それを捨つる時は、却って功力となるものなり。もしまた、その念に與(くみ)せずと雖も、ココロに留め喜ぶ時は科となるなり。

弟:第十のマンダメントをば、何と心得るべきぞ。
師:他人の財寶を妄りに望むべからず。

弟:今この十ヶ條のマンダメントは、二に極まると云へる事を示し給へ。その二とは如何なる事ぞ。
師:萬事に越えて、デウスを御大切に思ひ奉る事と、我が身を思う如くポロシモを大切に思う事。是なり。

弟:萬事に越えてデウスをば、何と樣に御大切に思ひ奉るべきや。
師:財寶、譽れ、父母、身命、これらの事に對してデウスの御掟を背き奉らずして、ただ一反に御大切に思ひ奉るに極まるなり。

弟:デウスの御掟を守る爲の便りは何れぞや。
師:その便りは多きなり。取り分き、寝屋を起き上がりてよりは、デウスの御恩を存じ出し御礼を申し上げ奉るべし。また、その日、御掟を背かずして御ボンダアデに従ゐ、身を修むる爲に御護りを頼み奉るオラシヨ申し奉るべし。

弟:寝覚めにも怠らず、その分、勤むる爲には何事をすべきや。
師:まづ寝覚めに、その日のココロとコトバと所作との糾明をし、犯せる科の御赦しを後悔を以て乞ひ奉り、同じくガラサを以て進退を改めんと思ひ、定め相当のオラシヨを申し上ぐべき事なり。

弟:ポロシモをば、我が身の如く何と樣に思うべきや。
師:デウスの御掟に隨ひて、我が身の爲に望むほどの善き事を、ポロシモに對しても望むべきものなり。

弟:デウスの御掟に隨ひてとは、如何なる事ぞ。
師:こゝに仔細有り。デウスの御掟に背きて、ポロシモの爲に何事なりとも望む時んば、例え我が身の爲に望ましき事なりと雖も、我が身の如くにポロシモを思うにはあらず。ただ我が身を憎む如くにポロシモを憎む事なり。

第八 九 御母サンタヱケレジヤの御掟の事
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